公立大学法人 青森県立保健大学発足にあたって
平成20年4月1日から青森県立保健大学は公立大学法人としてまた新たな第1歩を踏み出しました。この大きな転換の日に、理事長に就任することの責任をとても重く受け止めております。
本学は、青森県の地域社会に根ざした保健医療福祉の高等教育をという強い県民の皆様の要望に応えて、平成11年開学し、「ヒューマンケアを提供できる専門職の人材育成」を教育理念として発展してきました。平成15年度には、健康科学研究科博士前期課程、平成17年度には博士後期課程を設置し、平成19年度には、博士後期課程の修了生を社会に送り、高等教育機関としての組織的完成をみました。そして今また、開学10年目に皆さんと共に新たな飛躍へのスタートを切ることになりました。
大学をめぐる変革は世界的現象であり、わが国での背景には、「少子高齢社会」「18歳人口の減少に伴う大学市場の縮小」「看護系大学をはじめとして全国の大学数の増加傾向」そして、全入学時代に入り、大学間の競争は年々厳しさを増しております。まさに今、大学のあり方そのものが抜本的に問われる時代となりました。
これらの競争を勝ち抜くため、全国的にも、平成16年に全ての国立大学が法人化されたほか、これまでに公立大学のおよそ5割が公立大学法人化し、人事組織面や予算面における機動性、弾力性当法人化のメリットを生かした運営を展開しています。
本学の特長は、地域社会に根ざした、保健医療福祉に特化したユニークな大学です。小規模は、組織の団結力と最も社会の動きに機敏に対応できるといったメリットがある一方、社会環境の変化をもろに受けやすい脆弱なところがあります。 他大学との資源の共有、コンソシアム、学生募集と支援システムの構築、入試制度の見直し、教育改善、ビジネスの可能性等の多大な努力が求められます。本学は、法人化に備え、このような社会状況とニーズに対応すべき着々と計画を進め、法人化と同時に栄養学科の新設、社会福祉と理学の定員増を実現いたしました。これらは、惜しみない大学の構成員の努力の賜物です。
この大学競争社会において、勝ち残るには、魅力ある、卓越した、特色ある大学つくりを目指してゆかねばなりません。本学の特色は、保健医療福祉の専門職の人材育成であり、わが国においては、「チーム連携」を充実させ、機能させることが、今の医師不足解消へのひとつの道であると私自身日米の経験から、痛感しているところです。本学では、社会でパイオニアとしてチーム連携を開発してゆく専門性と、たくましい人材を育成し、エビデンスに基づいた、法制度にまで導く研究成果が必要になります。私が今皆様にお願いしたいことは、大学構成員が一丸となり、危機意識を共有し、新しい世代の教育、研究、大学運営への参加をしていただきたいのです。
さて本日から、皆様は、県の機関からから離れ、公立大学法人という独立した経営体となり、大学のあり方、目標・計画の立案をはじめ管理運営の一切が、大学自身の裁量、つまり自主自律の運営が委ねられました。とはいえ、本学は県民の皆様に支えられ、経営してゆくので、県民の皆様に還元してゆくことには今までとなんら変わりはありません。運営面においては、これまでは、大学としての経営努力がわかりにくい仕組みでした。法人化により、授業料、外部資金等が直接法人の収入となり、県からいただく運営費交付金とあわせて、合理的に大学運営を行い、法人としての内部留保も可能な制度に変わります。
迅速に社会のニーズに対応できる新経営組織体制、透明性と効率性を備えた柔軟で弾力のある経営手法、大学構成員の活性化を促し、教育・研究の資質を向上するための新人事制度、そして全員参画型の職場風土を目指します。
私の好きな言葉に「人は石垣、人は城」がありますが、大学構成員の一人一人が城をなす重要な石垣です。そしてまた信玄公の「風林火山」の戦略手法は、まさに現代社会の経営手法に繋がります。風のごとく速く、多くの情報網から情報を得て、林の如く落ち着いて適切な判断を下し、火の如く激しく行動に移し、山の如く泰然と構え、先を読み、行動に移したいと考えています。
まだ多くの課題を抱えておりますが、私自身、本日から公立大学法人青森県立保健大学の理事長・学長として、本学の将来の発展にむけて皆様とともに全力をあげて、本学の目標・計画の実現化に向かい努力することを誓います。
青森県立保健大学の更なる飛躍時に、皆様の絶大なご支持とご支援をお願い申し上げます。
This is a New Beginning for All of Us. Let’s Make It Work !
平成20年4月1日
公立大学法人青森県立保健大学
理事長 リボウィッツ よし子