行動と価値
科目・科目群 | 人間総合科学科目・人間と存在 | |||||
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科目名 | 行動と価値 | |||||
授業形態 | 講義 | 単位数 | 2単位 | 選択・必修 | 選択 | |
配当年次 | 2年次 | 学期 | 前期 | 合計コマ数 | 15コマ | |
コース選択 | 該当なし | 他学科開講科目 | 該当なし | |||
科目責任者(学内連絡教員) | 羽入 辰郎 | 学内連絡教員 | ||||
科目担当者 | 羽入 辰郎 | |||||
身につける力 | ||||||
学習キーワード |
1.科目のねらい・目標
人はふつう、自分の価値判断に基づいて行動します。ところが、そうでない場合があります。自分の価値判断で動いていると本人自身は思っているのですが、実は他人の価値判断によって操作されているという場合です。この場合、個人の人格は破壊され、極めて危険な状態にさらされることになります。なぜなら、自分自身の価値判断に基づいて行動できる、ということが人格の基本だからです。本講義の目標は、誰でも条件さえそろえば、他人の価値判断に操作される状態に容易になり得る、ということを、実社会に出る前の学生時代に理解し、そうした操作から身を守る術を身に付けることにあります。思考を操作しようとしてくる相手に対する免疫のワクチンを、実社会に出る前に接種すること、諸君を騙されにくくすること、これが本講義の最終目標です。
2.授業計画・内容・方法・準備学習等
(1)アイヒマン実験:誰でも人を殺せる。(第一、第二回)
(2)代理状態:道徳意識の蒸発。命令だけに従う無責任状態(第三、第四回)
(3)本当に代理状態になっているのか?―裏に潜む自己欺瞞(第五、第六回)
(4)ブラック企業―なぜ抜け出せないのか(第七、第八、第九回)
(5)ブラック企業の先駆形態としてのカルト(第十、第十一、第十二、第十三回)
(6)結論、リポートの説明、および授業評価(第十四、第十五回)
3.教科書
特に使用しません。講義に関連した資料をその都度配布します。
4.参考書
(1)スタンレー・ミルグラム:「服従の心理」、山形浩訳、河出文庫、2012年、(今出版されているこの本よりも、絶版となっている旧訳の岸田秀訳の方が訳文は優れています。この旧訳が図書館の指定図書に一冊、書庫に5冊入れてあります。題は同じです。ISBN: 4309706142 )
(2)羽入辰郎:「支配と服従の倫理学」、ミネルヴァ書房、2009年、ISBN978-4-623-05233-2(図書館の指定図書に一冊、開架に一冊入れてあります。)
(3)Toshl:「洗脳―地獄の12年からの生還」、講談社、2014年、ISBN978-4-06-218657-5(図書館の指定図書に一冊、開架にも一冊入れてあります。)
(4)坂根真実:「解毒―エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記」、角川書店、2016年、ISBN978-4-04-103709-6(図書館の指定図書に一冊、開架に一冊入れてあります。)
(5)米本和広:「洗脳の楽園―ヤマギシ会という悲劇」、情報センター出版局、1997年、ISBN4-89691-295-0(図書館の指定図書に一冊、開架に一冊入れてあります。)
(6)米本和広:「カルトの子」、文藝春秋社、2000年、ISBN4-16-356370-9(図書館の指定図書に一冊、開架に一冊入れてあります。)
(7)ステイーブン・ハッサン:「マインドコントロールの恐怖」、浅見定雄訳、恒友出版、1993年、ISBN4-7652-3071-6(図書館の指定図書に一冊、書庫に一冊入れてあります。)
(7)今野晴貴:「ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪」、文春新書、2012年、ISBN978-4-16-660887-4
(8)今野晴貴:「ブラック企業ビジネス」、文春新書、2012年、ISBN978-4-02-273531-7(図書館の指定図書に一冊入れてあります。)
5.成績評価方法
リポート(80%)、授業への参加度(20%)。文科系の本格的なリポートは、はじめてだと思います。書き方はていねいに指導しますので、怖がらないでください。
6.授業の工夫している点(授業改善アンケート結果やピアレビュー結果から検討した内容等)
前年度、アウシュビッツのユダヤ人絶滅収容所の記録映画を見せたところ、非常に好評でした。確かに学生時代に一度は見ておいた方がよい記録フィルムではあり、社会に出てから見る機会などないと思うので、どこかで時間を作って見せたいと思っています。ただし、講義の時間を食われるのは、正直痛いです。座席表を作り、教師はその座席表を見ながら、「〇〇君、これどう思う?」と当てながら授業を展開していきます。したがって、準備学習は必要ありませんが、講義中は頭をフル回転させる必要があります。リポートの作成が自己学習となります。
7.備考(学生へのメッセージ、購入が必要な物品等)
論理的思考ができるようになり、論文を書くことが怖くなくなります。十以上のテーマが用意されており、また、講義に関係あれば、自由テーマもOKです。さらに、どうしても書けない場合のために、「書けない理由を書け」という奇妙な題も用意されています。リポートを怖がらないでください。必ず書けます。