調査と科学的方法
科目・科目群 | 人間総合科学科目・科学と論理 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
科目名 | 調査と科学的方法 | |||||
授業形態 | 講義 | 単位数 | 2単位 | 選択・必修 | 選択 | |
配当年次 | 2年後期 | 学期 | 後期 | 合計コマ数 | 15コマ | |
コース選択 | 看護学科保健学コース必修 | 他学科開講科目 | 該当なし | |||
科目責任者(学内連絡教員) | 山田 真司 |
学内連絡教員 | 山田 真司 | |||
科目担当者 | 山田 真司、浅田 豊 |
|||||
身につける力 | ||||||
学習キーワード |
1.科目のねらい・目標
[浅田] 質問紙調査法による社会調査の具体的な実施方法ならびに研究課題・研究目的に応じた研究方法のアプローチについて学ぶことにより当該調査を実施できる基礎的能力を高める。また、記述統計学における解析のプロセスについて基礎的な理解・思考を深める。さらに、質的・記述的なアプローチの方法並びに健康科学の方法に基づく研究論文・調査報告の作成方法の一連のプロセスを学ぶ(内容の1~6:授業回に相当)。これらの学習により一連の分析・問題解決ができる基礎的能力を高める。
[山田] 推測統計学の基本概念である母集団と標本、標本誤差を理解し、区間推定、仮説検定の理論をこれらの概念の中で正しく位置付けて理解することを目的とする。(授業計画・内容の7~15)。
2.授業計画・内容・方法・準備学習等
1.効果的な調査の実施(1)~研究デザインの設定と、質問紙調査を実施するためのポイント~
2.効果的な調査の実施(2)実態調査研究、相関関係実証型研究、記述統計学による解析のプロセスを中心に
3.研究における質的・記述的なアプローチの方法(1)~主に問題の発見のし方及びデータ収集の方法について~
4.研究における質的・記述的なアプローチの方法(2)~主に聞き取り調査・インタビューの方法について~
5.健康科学の方法に基づく研究論文の作成方法(1)~主に研究計画立案及び全体のプロセスについて~
6.健康科学の方法に基づく研究論文の作成方法(2)~主に結果のまとめ方の基礎について~
7.記述統計学と推測統計学
8.データの分布、統計量、ヒストグラム、箱ひげ図、データの尺度
9.正規分布とその特徴、標準化とZスコア
10.統計的仮説検定と区間推定の概要
11.1標本t検定とt分布に基づく区間推定
12.1標本Wilcoxon検定
13.2標本t検定と母平均の差の区間推定
14.等分散性の検定
15.Mann-Whitney検定
3.教科書
山田担当分 市原 清志、 佐藤 正一、 山下 哲平著:「新版統計学の基礎 第2版」、日本教育研究センター、2016年、ISBN-13: 978-4890261802
浅田担当分:竹内登美子監修『新版 看護研究サクセスマニュアル』エス・エム・エス、2013年。¥2,300.ISBN: 978-4-84437594-4
4.参考書
山田担当分:
1)高橋信:「マンガでわかる統計学」、オーム社、2004年、ISBN978-4274065705
2)南風原朝和著:「心理統計学の基礎―統合的理解のために」、有斐閣アルマ、2002年、ISBN978-4641121607
3)東京大学教養学部統計学教室編:「統計学入門」、東京大学出版会、1991年、ISBN978-4130420655
とにかく数学が苦手という人は授業前に1)をざっと読んで,統計学の概観を掴んでおくと良いです。2)は統計学をきちんと使えるようになるための入門書です。やさしい統計の本は往々にして難しい所には触れずに説明しています。そういうときにはこの本がとても参考になります。3)も入門書で、必要なことが2)に比べてすっきりと書かれ、扱う内容もより初等的なものに限定されています。本格的に統計学を身に付けたいという人には、指定のテキストではすぐに物足りなくなります。2)か3)のどちらかをいつでも参照できるようにしておくと良いでしょう。
浅田担当分:授業中に適宜紹介します。
5.成績評価方法
山田担当分:定期試験、授業の参加状況、提出課題、自主学習のそれぞれを25%で評価します。授業の参加状況については授業中での質問やこちらから投げかけた問に対する積極的な回答を高く評価します。また、自主学習の成果については提出を求めます。
(浅田パート)定期試験(70%)、講義時の小レポート(20%)、授業への参加度(10%)。
6.授業の工夫している点(授業改善アンケート結果やピアレビュー結果から検討した内容等)
山田担当分:重要なことは繰り返し取り上げ、様々な視点からの分かり易い説明を心がけます。しかし、統計学は数学の一分野ですのでこれをきちんと理解するにはどうしてもそれなりの努力が必要です。ましてや、皆さんの多くは数学を学ばなくなって1年半以上も経過しているのですから、難しさもひとしおです。あまり無理をせず、ゆっくりしっかり学んでいきましょう。とはいえ、授業中には積極的に応答し、予習と復習を怠らないための努力は必要です。
浅田担当分:概して分かりやすいという評価であったと認識しています。一方で、理解や表現が難しい、コマ数が足りないといった声も寄せられました。時間数が限られる背景の中、内容が難しいためゆっくり確実に反復的に 進めてほしいという複数の声をも踏まえつつ、表現を分かりやすく工夫することに加え、具体例をより効果的に用い実際面で一層役立つ内容としていくよう心がけ、また各学生さんの情意、 事前学習状況、理解度や質問箇所を常に確認しながら授業を計画し、進めるとともに、予習、復習、練習問題・課題への取り組み、継続的・発 展的な自己学習の促進を含み、さらに、授業の質の向上に向けた工夫・改善に努めたいと考えています。
7.備考(学生へのメッセージ、購入が必要な物品等)
学生へのメッセージ
山田担当分:統計学ではデータを計算するために統計ソフトウェアを使用します。この授業ではRという無料の統計ソフトウェアを用いますが、詳細な説明は行いません。パソコン操作などが苦手な人は事前に独習することを勧めます。その際には相談に応じます。
浅田担当分:旧カリキュラム科目であり時間数は限られますが、授業の中では、練習問題や質疑応答を含めながら、理解・思考の深化を支援します。また、理解が難 しい項目は、繰り返し指導します。この分野が得意だという方には応用問題や発展的課題を必要に応じて紹介し、この分野に苦手意識を持つ 方には、必要に応じて基本問題の個別対応、授業の空き時間などを利用した補充的支援等ができればと思います。分かりにくいところがあれば、 休み時間・空き時間においても、どんどん質問をしてください。事前学習との接続等を踏まえ、各学生の皆さんの個別的状況も踏まえて、支援していきます。